大量生産の品質は低い?現代のコストパフォーマンスについて考える
大量生産の魅力は、流行の商品がすぐに市場に登場することです。
生産コストが抑えられているので、私たち消費者はリーズナブルな価格で商品を手にすることができます。
しかし、気になるのは品質です。
「安かろう悪かろう」という言葉があるように、低価格による歪みは必ずどこかに生じるものです。
大量生産の品質は本当に低いのか、だとしたらどんな問題が生じるのか、考えてみましょう。
現代の主流は大量生産
大量生産の需要は、経済成長に伴って発生しました。
自給自足の時代から商品経済へと発達すると、企業はいかに効率よく商品を生産できるか考えるようになったのです。
例えば日本の洋服は昭和以前、縫製職人によって1つ1つ手作業で作られるのが主流でした。
やがて縫製工場ができて生産は効率化されましたが、まだ手作業が大半で品質に変化は見られませんでした。
しかし、現代はどうでしょうか。
経済のグローバル化が進み、国内で売られている洋服の9割以上は海外で大量生産されたものです。
企業はコストを抑えるために、大量の機械と労働者を投入しています。
特に人件費削減を目的に労働者を劣悪な環境の元、不当な給料で働かせているという事実もあります。
経済と産業が発達したのは素晴らしいことですが、私たちには消費者としての役割があります。
その商品の質は本当に良いのか、労働者や環境への悪影響はないのか、購入する前に一度考えてみる必要があるのです。
大量生産のメリット
大量生産によって生じている問題はたくさんありますが、メリットもあります。
- 商品が低価格で手に入る
- 商品の質が均一
- 流行のものがすぐに市場に登場する
一番のメリットは、商品が低価格で手に入ることです。
工場で効率よく大量に生産されるので、1つの商品を作るのにかかるコストは低くなります。
徹底的にマニュアル化された工場で生産されるため、商品の質にバラつきがないというメリットもあります。
1点ものではない代わりに、商品の質は一定に保障されているのです。
さらに、生産スピードも早いので流行のものはすぐに多くの消費者の手に渡るようになります。
職人が作るハンドメイド品とは違って、予約してから何年も待つということもありません。
流行のものが安く、早く手に入るのは大量生産の大きな魅力です。
大量生産のデメリット
大量生産のデメリットは、こちらです。
- 品質の低下
- ゴミの増加
- 人件費削減による労働者からの搾取
大量生産の一番のデメリットは、やはり品質の低さにあります。
とにかく低コストで、大量に生産することを目的としているからです。
昔に比べると生産技術の向上で品質は高くなっていますが、まだまだ課題はたくさんあります。
ではなぜ、大量生産によって生まれた品質の低い商品を人々は購入したがるのでしょうか。
理由は安さだけでなく、現代の流行サイクルの早さにもあります。
インターネットが広まってから、流行は目まぐるしく移り変わるようになりました。
そのため、「品質が低くても構わない。どうせすぐに買い換えるから。」という思考を持った人が増えているのです。
流行が去った商品は、すぐに人々に飽きられてゴミになってしまいます。
大量生産の商品の多くは、すぐに捨てられるということを前提に作られてしまっているのです。
また、発展途上国の労働者問題もあります。
低賃金で長時間労働を強いたり劣悪な環境で生産させたりと、悪質な企業が絶えないのです。
この問題を解決するには、まずは私たち消費者が現状を知ろうとすることが必要なのです。
コストパフォーマンスを考える
欲しいものが安く気軽に手に入るのは、ありがたいことですよね。
しかし、大切なのはコストパフォーマンスです。
コストパフォーマンスとは、ただ安い商品を購入することではありません。
いろいろな角度からその商品と値段を照らし合わせて、本当に自分に必要なものなのか合理的に判断する必要があります。
大量生産の商品は安く手に入りますが、すぐに壊れたり着れなくなったりするかもしれません。
労働者問題などを考えると、そこまでの犠牲を払ってもらってまでその商品が必要なのか疑問も浮かびます。
目先の得よりも、長期的な目線で考えることが大切です。
ハンドメイドの魅力は品質だけではない
1つ1つ手作業で生産されるハンドメイド品は、大量生産とは対極にあるものです。
手間や時間はかかりますが、高品質に仕上がります。
しかし、魅力はそれだけではありません。
ハンドメイドには作り手の想いと、生産過程でのストーリーが詰まっています。
無機質なロボットとは違って、職人は商品を使う人のことを思い浮かべながら製作ができます。
大量生産が主流な時代だからこそ、ハンドメイドのようなストーリーのある商品は支持され始めているのです。
人生の質を上げるコンフォート原理
コンフォートとは、「快適」という意味です。
人はこの快適度が高ければ高いほど、幸福度が上がると言われています。
特に毎日身に纏う洋服やアクセサリーは、生活の快適度に大きく影響します。
着心地の悪い洋服や重すぎるアクセサリーなどを身につけていると、なんだか落ち着かなくなりますよね。
「お洒落は我慢」という言葉もありますが、快適かどうかはファッションにおいてとても大切な項目です。
- サイズは合っているか
- 上質な素材を使っているか
- 値段以外の魅力を感じられているか
大量生産の商品には、個人の細かいニーズには応えられないというデメリットがあります。
体型に合わないフリーサイズの服を、安いから仕方ないとそのまま着ている人も多いのではないでしょうか。
快適度を上げるには、自分にぴったり馴染むものを選ぶことが大切です。
また、品質の高さはもちろん、自分がそのアイテムを本当に気に入っているのかも重要です。
値段の安さだけで選んでしまうと、思い入れがないのですぐに不要になってしまいます。
結果、何度も購入し直すことになりコストパフォーマンスは下がります。
購入を迷った時は、その商品が自分にどんな影響を与えるのか考えてみましょう。
時代は大量生産から多品種生産へ
多品種生産とは、顧客のニーズに合った商品を必要な分だけ生産する方式です。
少量生産なので値段は少し高くなりますが、質が高く個人の細かいニーズにも応えられるというメリットがあります。
必要以上に生産しないので、労働者問題やゴミ問題も生じにくくなります。
現代の主流は大量生産ですが、徐々に多品種生産へと移行してきています。
生産者と消費者、両方の意識の変化により時代は新たなフェーズに向かっているのです。
短サイクルを支持しないという選択
大量生産が主流になった背景には、短サイクルの流行があります。
企業は利益のために、安く品質の低い商品を今も大量生産し続けています。
1つのものを長く大切に扱っていた時代は終わり、ほとんどのものが消耗品として購入されるようになりました。
そこで提案したいのは、短サイクルを支持しないという選択です。
世の中の流行が目まぐるしく変わり続けても、自分は本当に必要なものだけを購入するという意思を持つことです。
大量生産の悪循環を無くすためには、私たち消費者の選択が何よりも重要なのです。
本当のコストパフォーマンスを考える
本当のコストパフォーマンスとは、その商品を買うことでどんな良い影響があるのかを考えることです。
消費者として、自分は何を基準に商品を選ぶべきなのか。
価格以外の魅力や、生産ストーリーについてもぜひ考えてみて下さい。
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